2015年07月28日
Navy SEALs 使用武器の考察 ⑮ (サイドアーム編 ③)
皆様こんにちは
前回に続きNavy SEALs が使用する武器について考察してみたいと思います。
・前回 「Navy SEALs 使用武器の考察 ⑭ (サイドアーム編 ② 」へ
・初回「Navy SEALs 使用武器の考察 ①」へ
・別回「Navy SEALs 使用 スナイパーライフル編 ①」へ
☆アメリカ合衆国軍(ブログの指針説明へ)☆←読んで下さると嬉しいです。
写真は映画「ティアーズ・オブ・ザ・サン」より
前回に続きNavy SEALs が使用する武器について考察してみたいと思います。
・前回 「Navy SEALs 使用武器の考察 ⑭ (サイドアーム編 ② 」へ
・初回「Navy SEALs 使用武器の考察 ①」へ
・別回「Navy SEALs 使用 スナイパーライフル編 ①」へ
☆アメリカ合衆国軍(ブログの指針説明へ)☆←読んで下さると嬉しいです。
写真は映画「ティアーズ・オブ・ザ・サン」より
1980年代より北大西洋条約機構(NATO)の同盟国は、ライフルやサイドアームを5.56mmと9mmを標準化へ移行開始
・NATO = North Atlantic Treaty Organization
「加盟国」(かめいこく)
・1949年「アメリカ合衆国・カナダ・ポルトガル・イギリス・オランダ・デンマーク・フランス・ベルギー・ノルウェー・イタリア・ルクセンブルク・アイスランド」
・1952年「ギリシャ・トルコ」
・1955年「ドイツ」
・1982年「スペイン」
とりあえず1980年代の加盟国はここまで、1990年代以降は割愛
そして1985年にはベレッタ社のM9がアメリカ軍の制式採用拳銃となった事で9mmパラベラム弾を正式に採用
ですがベルギーのブローニングHPより始まったヨーロッパ規格である「9×19mm弾」(9mmパラベラム弾)が正式採用された事により、軍内部では大きな議論を呼ぶ事となりました。
(余談)
古くはドイツのルガーが1902年に9mm使用のP08を開発し、ワルサーP38も9mmを使用していました。
①M1911A1のトリガーが軽すぎた為暴発していた事から、M9のトリガーを重く硬くした事で咄嗟に撃ちにくいと批判
②スチールだったM1911に変わり、M9はアルミフレームにした為耐久制度への不満(スライドはスチールです)
③「何故M1911の後がお前(M9)なんだ?」と上記理由を加え、当時批判が多かったらしいです。(この時はまだ45口径信者が多かった為)
④真意は不明ですがアメリカがイタリアへ巡航ミサイルを配備するため、政治的判断でベレッタを採用したと噂があった為
※「この決定はあらかじめ決まっていた」とするS&Wの訴えは、裁判沙汰までになりました。
まず米軍が初期に使用していた45口径自体は、1898年米西戦争時フィリピンのモロ族による突撃に対し、アメリカ軍は38ロングコルト弾にて挑みましたが、極度の興奮状態にあるモロ族は怯まずに止める事が出来なかった為「相手を一撃で仕留める威力」「リボルバーより連射が可能」との能力を求めた結果
ジョン・モーゼス・ブローニングによって相手を止める能力「ストッピングパワー」を高め、開発されたのが「45ACP」と「M1911(コルト・ガバメント)」になります。
戦時中(特にアフガニスタンやソマリア)に麻薬などによる薬物を使用し、痛覚が麻痺した相手を止める為にも使用されました。
しかし.45ACP弾も決して万能な銃では無く、「射撃者の能力」「環境による違い」などにより、「消音性」「弾数」「銃の大きさ」など、その状況により大きな違いが出ます
ですが1911年以来、アメリカ軍の正式拳銃はM1911を始めとした.45ACP(45口径)が一般的であり、軍の官給品を使用する為にサイドアームや使用する弾丸に選択の余地はありませんでした。(特殊部隊を除き)
そこに登場した9mm弾は弾頭の重さに対し薬莢の火薬量を多く出来る為、初速が速く弾道に狂いが少なくなります。
その為貫通力も有り、遮蔽物(しゃへいぶつ)を貫通しやすい利点などがありますが一般的な利点は「低反動」、「連射速度の高速化」、45口径より弾の重さ半分で小さい為多くの弾薬を所持出来る辺りでしょうか?
当時は45口径が軍内部でも親しまれていた事からM9採用に対し反対の声も多くありましたが、次第とM1911とM9の「弾数の違い」や反動による扱いやすさが軍内部で評価され始められました。
※因みにM1911 = 7+1発 ・M9 = 15発+1発 の装弾数です(+1は本体のチャンバー内に1発)
そしてSEALsも1985年にM9を使用しますが、此方はこちらで一悶着
1987年にM9のスライドが破損して射撃者の顔面直撃
1988年にも2件同じ事故が起こり、計3件の事故発生
しかも3件ともSEAL隊員による事故でした
SEALsが「通常より火薬を増やした弾を使った為」 「過酷な条件下で壊した」など言われましたが、実際にはアメリカで生産していたM9のスライドの中に初回納入分のみイタリア工場で生産された物が混じっていたらしいです。
そのイタリアで生産されたスライドは製造工程をミスしており、規定の強度に満たないままM9に組み込まれるたという・・・・
正式採用した米軍内でも約15,000発ほど撃つと、スライドに亀裂が走り交換しなくては行けないような事態が発生しました。
(現在ではM9のスライドは強化されています)
SEALsはドイツ海軍「Kampfschwimmer」とP226のテストを開始
※ P226はスイスのノイハウゼンにあるSIG社で設計された後に、ドイツにあるSIGの傘下の会社で製造されている為
その後SEALsはM9を見限り、最後までM9とトライアルで競ったSIG SAUER社のP226を1988年の事故後に採用
「MK24 (P226)」
使用期間はM9の事故後である1988年からMK25が納入される2011年までの間ですかね?
P226がM9に負けた理由で「安全装置が無い」事と「値段が高い」事が理由と言われてますが、「値段が高い」はガセネタらしく180ドル以内のトライアル内容にP226は175ドルでクリアしていたらしいです。(因みにM9は179ドル)
安全装置に関してはSIG226は慣性式のファイアリングピンとAFPBとリバウンド式ハンマーの3種類による安全装置になります
・AFPB = Automatic Firing Pin Block (撃針固定子)
(簡単に言うと、トリガーを引ききったときのみファイアリングピンが弾をたたくような仕組みです)
MK24のNSWナンバー刻印
・NSW = Naval Special Warfare (海軍特殊戦)
スライドが若干グレーなのは、スチールスライド表面の腐食の進行を抑えるためパーカライジング(リン酸塩化成処理)されている為です
フレームはアルミ製と言う事もあり、防錆スライドとアルミフレームの組み合わせは汚れや水に強く、当時水中からの襲撃任務が多かったSEALs内でも重宝され、このSEALsによるP226の使用例は「M9が優れている」としたトライアルの結果を覆す事となりました
(余談)
M9とP226共にスチールスライド&アルミフレームの組み合わせですが、M9はショートリコイルの1種であるプロップアップ機構を採用しており、バレルが固定されている為P226より命中精度があります
MK24の民間向けモデルはスライドに碇のマークが刻まれていると聞きますが、SEALsが使用するP226にも碇のマークが入っています
SEALsの武器庫で撮られた写真
MK18の時にもあった「謎のボタン」
いったい何なんでしょうか?
どっちもトリガーやチャンバー付近にありますが・・・
初期に製造されたP226
標準グリップの形状が違う以外に、期製造モデルはスライドの左側面に小さく「SIG SAUER」の刻印があるのが特徴的ですね
ベトナム戦争に「MK22」を使用していたSEALsですが、1985年にM9が採用されるとM9をベースにした後継モデルの開発が検討されました
ですが先に述べたように、M9のスライド破損事故や「ストッピング・パワー」に不満が残る「9x19mmパラベラム弾」に対して新型銃の開発を1990年代に決定
H&K社はUSSOCOM(アメリカ特殊作戦軍)が示した条件に対し、1991年に特殊作戦用のハンドガン開発プロジェクトを開始
「条件」
・サプレッサーなどの消音装置を状況に応じて着脱可能である事
・装弾数を10発以上とし、「.45口径」を使用する事
・悪条件でも性能に支障を来たさない耐久性(約6000発以上撃っても破損しない事)と耐候性を備えていること
※後に3000発以上に条件が緩和したそうです
1992年にH&K社はアメリカ海軍地上兵器研究センター「NSWC Crane」にプロトタイプのMK23を30挺納入
その後はUSP開発スタッフの一人をチーフ・デザイナーとしてUSPと並行して開発が進められました。
そしてトライアルの結果MK23がトライアルを勝ち抜き、1996年に制式名称「MK23 Mod.0」として採用される事となります。
因みに民間市場名では「MARK 23」です
USSOCOMが示した条件通り、専用のサプレッサーですが標準装着が可能
プロトタイプモデル時にはMK22ハッシュパピーのようなスライドロックがフェーズ3まで可能だったそうですが、不必要と判断されオミットされたとの事
MK23アンダーレールには「AN/PEQ-6」を装着する為、独自のレールが設けられています
ゲーム「メタルギアソリッド」がお好きな方は、やはりこっちの「LAM」の方が印象が強いですかね?
・LAM = LAM (Laser Aiming Module)
写真は東京マルイ製の「SOCOM Mk23 固定スライド フルセット」です
メタルギアで使用されていたフェーズ2のプロトタイプモデルですが、マルイMK23は2008年頃の発売に対し、メタルギアソリッドは1998年発売ですのでマルイさんがメタルギア使用に近づけたんでしょうかね?
ゲームにもマルイさん協力しているみたいですし・・・
このサイズのLAMですとwilcox社のLAMに形状が似てますね(写真右側)
(追記)
「通りすがり様」情報で調べたITI LAMの内容
・ITI = Insight Technology, Inc
[ITIのLAM](初期)
ITI LAM-150
どちらも「AN/PEQ-6」の形状ですね
1994年のフェーズ1 で使用されていたLAMの方が似てました
やはりテスト段階のwilcox製LAMみたいです
ですので、恐らくITI LAMがメタルギアの元ネタってのは間違いかと・・・
フェーズ2移行直前?の写真
SEALsが使用したとされるMK23 MOD0
「アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)の要求にすべて応えたらこうなった」と当時言えた銃ですかね?
・「3,000発(当初6,000発)」でも壊れないに対し、最高「15,122発」最低「6,027発」で故障無く連続射撃に成功。
・「フルメタルジャケット」or「強装弾」.45ACP+Pを使用可能。
・砂などの汚れや凍結・オイル切れでも正常に作動
・約20mの水深の海水に2時間放置した後も正常に作動。(錆の出にくいポリマーや、金属処理を採用)
・最初から銃口にネジ切りがある為、サプレッサーの装着が可能
・マッチグレード(競技銃)に近い精密性を実現し、3万発射撃後も性能を維持。
・レーザーサイト及び、フラッシュライトが内蔵されたLAMが装着可能なレールを装備
USSOCOMの要求にすべて応えたと言う事もあり、性能はとても良かったそうです
欠点は大きさ(重さ)です
・全長245mm (P226は196mm) 250mm以内で一応要求はクリア
・重さ マガジン無しで約1.2Kg (P226は964g) マガジン無しで1.3kg以内で一応要求はクリア
マガジンを入れると約1.5kg
写真は映画「ティアーズ・オブ・ザ・サン」より
ライフルを所持した兵士が携行するには、サイドアームとしてはあまりにサイズが大き過ぎで、しかも1挺が約2000ドルを超える他、サプレッサーやLAMまでのフルセットとなれば、あまりに高価格過ぎた代物でした。
その後MK23の後継機として.45ACP弾を使用するUSP45が登場しますがSEALsは使用しなかったみたいですので割愛
2005年に再びM9後継拳銃のトライアルが行われました
そして2006年にH&K社はラリー・ヴィッカース氏協力の下開発した「HK45」で参加します
(余談)最近マルイさんからモデルアップされたばかりですが、実際は9年も前の銃です
今の所SEALs未使用「HK45」
しかし2007年にM9の寿命を延長する事を決定し、M9後継拳銃のトライアルは白紙(無期限の延長)となりHK45は2007年に市場へ流れる事となりました
2010年にはUSSOCOMとNAVSPECWAR(海軍特殊作戦の略)の関係者はアメリカ軍との9mm使用の提携を終了
その後はサイズ的な問題からH&KのHK45Cを「Mk24 Mod0」として承認したそうですが、DEVGRUの話になりそうなのでまたの機会に
「HK45C」(Mk24 Mod0)
・C = COMPACT
MK24(P226)と被りますが、今後MK24(P226)はMK25へ更新される事となります
因みに私は以前ハンドガンを写真の様に腰に携帯したら、変な目で見られたトラウマ有りw
まだ続きますので今日はここまで
・次回「Navy SEALs 使用武器の考察 ⑯ (サイドアーム編 ④)」へ
・前回 「Navy SEALs 使用武器の考察 ⑭ (サイドアーム編 ② 」へ
・NATO = North Atlantic Treaty Organization
「加盟国」(かめいこく)
・1949年「アメリカ合衆国・カナダ・ポルトガル・イギリス・オランダ・デンマーク・フランス・ベルギー・ノルウェー・イタリア・ルクセンブルク・アイスランド」
・1952年「ギリシャ・トルコ」
・1955年「ドイツ」
・1982年「スペイン」
とりあえず1980年代の加盟国はここまで、1990年代以降は割愛
そして1985年にはベレッタ社のM9がアメリカ軍の制式採用拳銃となった事で9mmパラベラム弾を正式に採用
ですがベルギーのブローニングHPより始まったヨーロッパ規格である「9×19mm弾」(9mmパラベラム弾)が正式採用された事により、軍内部では大きな議論を呼ぶ事となりました。
(余談)
古くはドイツのルガーが1902年に9mm使用のP08を開発し、ワルサーP38も9mmを使用していました。
①M1911A1のトリガーが軽すぎた為暴発していた事から、M9のトリガーを重く硬くした事で咄嗟に撃ちにくいと批判
②スチールだったM1911に変わり、M9はアルミフレームにした為耐久制度への不満(スライドはスチールです)
③「何故M1911の後がお前(M9)なんだ?」と上記理由を加え、当時批判が多かったらしいです。(この時はまだ45口径信者が多かった為)
④真意は不明ですがアメリカがイタリアへ巡航ミサイルを配備するため、政治的判断でベレッタを採用したと噂があった為
※「この決定はあらかじめ決まっていた」とするS&Wの訴えは、裁判沙汰までになりました。
まず米軍が初期に使用していた45口径自体は、1898年米西戦争時フィリピンのモロ族による突撃に対し、アメリカ軍は38ロングコルト弾にて挑みましたが、極度の興奮状態にあるモロ族は怯まずに止める事が出来なかった為「相手を一撃で仕留める威力」「リボルバーより連射が可能」との能力を求めた結果
ジョン・モーゼス・ブローニングによって相手を止める能力「ストッピングパワー」を高め、開発されたのが「45ACP」と「M1911(コルト・ガバメント)」になります。
戦時中(特にアフガニスタンやソマリア)に麻薬などによる薬物を使用し、痛覚が麻痺した相手を止める為にも使用されました。
しかし.45ACP弾も決して万能な銃では無く、「射撃者の能力」「環境による違い」などにより、「消音性」「弾数」「銃の大きさ」など、その状況により大きな違いが出ます
ですが1911年以来、アメリカ軍の正式拳銃はM1911を始めとした.45ACP(45口径)が一般的であり、軍の官給品を使用する為にサイドアームや使用する弾丸に選択の余地はありませんでした。(特殊部隊を除き)
そこに登場した9mm弾は弾頭の重さに対し薬莢の火薬量を多く出来る為、初速が速く弾道に狂いが少なくなります。
その為貫通力も有り、遮蔽物(しゃへいぶつ)を貫通しやすい利点などがありますが一般的な利点は「低反動」、「連射速度の高速化」、45口径より弾の重さ半分で小さい為多くの弾薬を所持出来る辺りでしょうか?
当時は45口径が軍内部でも親しまれていた事からM9採用に対し反対の声も多くありましたが、次第とM1911とM9の「弾数の違い」や反動による扱いやすさが軍内部で評価され始められました。
※因みにM1911 = 7+1発 ・M9 = 15発+1発 の装弾数です(+1は本体のチャンバー内に1発)
そしてSEALsも1985年にM9を使用しますが、此方はこちらで一悶着
1987年にM9のスライドが破損して射撃者の顔面直撃
1988年にも2件同じ事故が起こり、計3件の事故発生
しかも3件ともSEAL隊員による事故でした
SEALsが「通常より火薬を増やした弾を使った為」 「過酷な条件下で壊した」など言われましたが、実際にはアメリカで生産していたM9のスライドの中に初回納入分のみイタリア工場で生産された物が混じっていたらしいです。
そのイタリアで生産されたスライドは製造工程をミスしており、規定の強度に満たないままM9に組み込まれるたという・・・・
正式採用した米軍内でも約15,000発ほど撃つと、スライドに亀裂が走り交換しなくては行けないような事態が発生しました。
(現在ではM9のスライドは強化されています)
SEALsはドイツ海軍「Kampfschwimmer」とP226のテストを開始
※ P226はスイスのノイハウゼンにあるSIG社で設計された後に、ドイツにあるSIGの傘下の会社で製造されている為
その後SEALsはM9を見限り、最後までM9とトライアルで競ったSIG SAUER社のP226を1988年の事故後に採用
「MK24 (P226)」
使用期間はM9の事故後である1988年からMK25が納入される2011年までの間ですかね?
P226がM9に負けた理由で「安全装置が無い」事と「値段が高い」事が理由と言われてますが、「値段が高い」はガセネタらしく180ドル以内のトライアル内容にP226は175ドルでクリアしていたらしいです。(因みにM9は179ドル)
安全装置に関してはSIG226は慣性式のファイアリングピンとAFPBとリバウンド式ハンマーの3種類による安全装置になります
・AFPB = Automatic Firing Pin Block (撃針固定子)
(簡単に言うと、トリガーを引ききったときのみファイアリングピンが弾をたたくような仕組みです)
MK24のNSWナンバー刻印
・NSW = Naval Special Warfare (海軍特殊戦)
スライドが若干グレーなのは、スチールスライド表面の腐食の進行を抑えるためパーカライジング(リン酸塩化成処理)されている為です
フレームはアルミ製と言う事もあり、防錆スライドとアルミフレームの組み合わせは汚れや水に強く、当時水中からの襲撃任務が多かったSEALs内でも重宝され、このSEALsによるP226の使用例は「M9が優れている」としたトライアルの結果を覆す事となりました
(余談)
M9とP226共にスチールスライド&アルミフレームの組み合わせですが、M9はショートリコイルの1種であるプロップアップ機構を採用しており、バレルが固定されている為P226より命中精度があります
MK24の民間向けモデルはスライドに碇のマークが刻まれていると聞きますが、SEALsが使用するP226にも碇のマークが入っています
SEALsの武器庫で撮られた写真
MK18の時にもあった「謎のボタン」
いったい何なんでしょうか?
どっちもトリガーやチャンバー付近にありますが・・・
初期に製造されたP226
標準グリップの形状が違う以外に、期製造モデルはスライドの左側面に小さく「SIG SAUER」の刻印があるのが特徴的ですね
ベトナム戦争に「MK22」を使用していたSEALsですが、1985年にM9が採用されるとM9をベースにした後継モデルの開発が検討されました
ですが先に述べたように、M9のスライド破損事故や「ストッピング・パワー」に不満が残る「9x19mmパラベラム弾」に対して新型銃の開発を1990年代に決定
H&K社はUSSOCOM(アメリカ特殊作戦軍)が示した条件に対し、1991年に特殊作戦用のハンドガン開発プロジェクトを開始
「条件」
・サプレッサーなどの消音装置を状況に応じて着脱可能である事
・装弾数を10発以上とし、「.45口径」を使用する事
・悪条件でも性能に支障を来たさない耐久性(約6000発以上撃っても破損しない事)と耐候性を備えていること
※後に3000発以上に条件が緩和したそうです
1992年にH&K社はアメリカ海軍地上兵器研究センター「NSWC Crane」にプロトタイプのMK23を30挺納入
その後はUSP開発スタッフの一人をチーフ・デザイナーとしてUSPと並行して開発が進められました。
そしてトライアルの結果MK23がトライアルを勝ち抜き、1996年に制式名称「MK23 Mod.0」として採用される事となります。
因みに民間市場名では「MARK 23」です
USSOCOMが示した条件通り、専用のサプレッサーですが標準装着が可能
プロトタイプモデル時にはMK22ハッシュパピーのようなスライドロックがフェーズ3まで可能だったそうですが、不必要と判断されオミットされたとの事
MK23アンダーレールには「AN/PEQ-6」を装着する為、独自のレールが設けられています
ゲーム「メタルギアソリッド」がお好きな方は、やはりこっちの「LAM」の方が印象が強いですかね?
・LAM = LAM (Laser Aiming Module)
写真は東京マルイ製の「SOCOM Mk23 固定スライド フルセット」です
メタルギアで使用されていたフェーズ2のプロトタイプモデルですが、マルイMK23は2008年頃の発売に対し、メタルギアソリッドは1998年発売ですのでマルイさんがメタルギア使用に近づけたんでしょうかね?
ゲームにもマルイさん協力しているみたいですし・・・
このサイズのLAMですとwilcox社のLAMに形状が似てますね(写真右側)
(追記)
「通りすがり様」情報で調べたITI LAMの内容
・ITI = Insight Technology, Inc
[ITIのLAM](初期)
ITI LAM-150
どちらも「AN/PEQ-6」の形状ですね
1994年のフェーズ1 で使用されていたLAMの方が似てました
やはりテスト段階のwilcox製LAMみたいです
ですので、恐らくITI LAMがメタルギアの元ネタってのは間違いかと・・・
フェーズ2移行直前?の写真
SEALsが使用したとされるMK23 MOD0
「アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)の要求にすべて応えたらこうなった」と当時言えた銃ですかね?
・「3,000発(当初6,000発)」でも壊れないに対し、最高「15,122発」最低「6,027発」で故障無く連続射撃に成功。
・「フルメタルジャケット」or「強装弾」.45ACP+Pを使用可能。
・砂などの汚れや凍結・オイル切れでも正常に作動
・約20mの水深の海水に2時間放置した後も正常に作動。(錆の出にくいポリマーや、金属処理を採用)
・最初から銃口にネジ切りがある為、サプレッサーの装着が可能
・マッチグレード(競技銃)に近い精密性を実現し、3万発射撃後も性能を維持。
・レーザーサイト及び、フラッシュライトが内蔵されたLAMが装着可能なレールを装備
USSOCOMの要求にすべて応えたと言う事もあり、性能はとても良かったそうです
欠点は大きさ(重さ)です
・全長245mm (P226は196mm) 250mm以内で一応要求はクリア
・重さ マガジン無しで約1.2Kg (P226は964g) マガジン無しで1.3kg以内で一応要求はクリア
マガジンを入れると約1.5kg
写真は映画「ティアーズ・オブ・ザ・サン」より
ライフルを所持した兵士が携行するには、サイドアームとしてはあまりにサイズが大き過ぎで、しかも1挺が約2000ドルを超える他、サプレッサーやLAMまでのフルセットとなれば、あまりに高価格過ぎた代物でした。
その後MK23の後継機として.45ACP弾を使用するUSP45が登場しますがSEALsは使用しなかったみたいですので割愛
2005年に再びM9後継拳銃のトライアルが行われました
そして2006年にH&K社はラリー・ヴィッカース氏協力の下開発した「HK45」で参加します
(余談)最近マルイさんからモデルアップされたばかりですが、実際は9年も前の銃です
今の所SEALs未使用「HK45」
しかし2007年にM9の寿命を延長する事を決定し、M9後継拳銃のトライアルは白紙(無期限の延長)となりHK45は2007年に市場へ流れる事となりました
2010年にはUSSOCOMとNAVSPECWAR(海軍特殊作戦の略)の関係者はアメリカ軍との9mm使用の提携を終了
その後はサイズ的な問題からH&KのHK45Cを「Mk24 Mod0」として承認したそうですが、DEVGRUの話になりそうなのでまたの機会に
「HK45C」(Mk24 Mod0)
・C = COMPACT
MK24(P226)と被りますが、今後MK24(P226)はMK25へ更新される事となります
まだ続きますので今日はここまで
・次回「Navy SEALs 使用武器の考察 ⑯ (サイドアーム編 ④)」へ
・前回 「Navy SEALs 使用武器の考察 ⑭ (サイドアーム編 ② 」へ
Posted by ロマン at 23:25
│■Navy SEALs (ネイビーシールズ)│銃器
この記事へのコメント
こんばんわ。
SealのサイドアームといえばSOCOMピストルのイメージですねー。
CQBにおけるハンドガンの優位性を重視したとか。
納めるホルスターがなかなか無くて、サバゲでは携行できませんでしたw
MGSシリーズやティアーズ・オブザ・サンは何度も何度も見ましたよww
SealのサイドアームといえばSOCOMピストルのイメージですねー。
CQBにおけるハンドガンの優位性を重視したとか。
納めるホルスターがなかなか無くて、サバゲでは携行できませんでしたw
MGSシリーズやティアーズ・オブザ・サンは何度も何度も見ましたよww
Posted by OKyou-MET3 at 2015年07月28日 23:38
OKyou-MET3様
コメントありがとう御座います
私はMGSでMK23に憧れたくちですw
SOCOMピストルってなんか漢心くすぐる物ありますよね?
コメントありがとう御座います
私はMGSでMK23に憧れたくちですw
SOCOMピストルってなんか漢心くすぐる物ありますよね?
Posted by ロマン at 2015年07月28日 23:44
ITIのLAMが元ネタでは...?
Posted by 通りすがり at 2015年07月29日 00:15
通りすがり様
コメントありがとう御座います
ITI LAM-1000の事でしょうか?
情報助かります
少し調べてみますね
(○^ω^○)
コメントありがとう御座います
ITI LAM-1000の事でしょうか?
情報助かります
少し調べてみますね
(○^ω^○)
Posted by ロマン at 2015年07月29日 00:22
こんにちわ
依然ハンドガンを写真の様に腰に携帯したら、変な目で見られた
>「やっぱレッグホルスターが普通」という意見が多いので、腰ベルトに掛けるのは「異端」だと思われるのでしょうか?
MK23が他国の特殊部隊でも採用されてますよね。その理由が「SEALチームが採用してた」とかじゃないですよね!?
依然ハンドガンを写真の様に腰に携帯したら、変な目で見られた
>「やっぱレッグホルスターが普通」という意見が多いので、腰ベルトに掛けるのは「異端」だと思われるのでしょうか?
MK23が他国の特殊部隊でも採用されてますよね。その理由が「SEALチームが採用してた」とかじゃないですよね!?
Posted by 海より陸(軍)派 at 2015年07月29日 09:47
海より陸(軍)派様
お久しぶりです
サファリやブラックホークなどのホルスターが多い中、腰に付けるホルスターはナイロン製であまり見ない形状だったからかな~?と思っておりますw
MK23の他国使用理由はどうでしょうね?
そこまでの記述は目にした事ありませんので判りかねますが・・・
SOCOMピストルは一般向けにも販売はされているので、購入については問題ないと思いますし、何より大きさだけ目をつぶれば高性能だからでしょうかね?
お久しぶりです
サファリやブラックホークなどのホルスターが多い中、腰に付けるホルスターはナイロン製であまり見ない形状だったからかな~?と思っておりますw
MK23の他国使用理由はどうでしょうね?
そこまでの記述は目にした事ありませんので判りかねますが・・・
SOCOMピストルは一般向けにも販売はされているので、購入については問題ないと思いますし、何より大きさだけ目をつぶれば高性能だからでしょうかね?
Posted by ロマン at 2015年07月29日 12:50
こんにちは
毎回、楽しみにしてます。
私は9mm信者ですので、HK45ではなくP226のままであって欲しかったです・・・
やっぱりアメリカ人は45口径信者が多いのでしょうか、クリス・カイルもマーク・オーウェン氏も9mmではなく45口径を使用していたようですし。
今後、SEALsの中ではP226は完璧になくなり全部HK45になったら悲しいなーと思う限りですw
また、HK45ではなくFNX45を採用した方が良かったのではないかと思いましたw
次の記事、楽しみにしてます (^^ゞ
毎回、楽しみにしてます。
私は9mm信者ですので、HK45ではなくP226のままであって欲しかったです・・・
やっぱりアメリカ人は45口径信者が多いのでしょうか、クリス・カイルもマーク・オーウェン氏も9mmではなく45口径を使用していたようですし。
今後、SEALsの中ではP226は完璧になくなり全部HK45になったら悲しいなーと思う限りですw
また、HK45ではなくFNX45を採用した方が良かったのではないかと思いましたw
次の記事、楽しみにしてます (^^ゞ
Posted by haunyan at 2015年07月30日 16:36
haunyan様
はじめまして
コメントありがとう御座います
m(_ _)m
もう2011年にはDEVGRUがHK45のコンパクトモデルであるHK45Cを使用していますがHK45自体は今後どうなりますかね~?
ミッションに寄りけりですが、最近の特殊部隊は装備軽量化の為サイドアームを所持しないで赴く事があったり
あまり使用しない為、保険程度に取り合えずハンドガンを携帯している事もあるそうなので、全体的にサイドアームの小型化を検討しているみたいですね・・・
はじめまして
コメントありがとう御座います
m(_ _)m
もう2011年にはDEVGRUがHK45のコンパクトモデルであるHK45Cを使用していますがHK45自体は今後どうなりますかね~?
ミッションに寄りけりですが、最近の特殊部隊は装備軽量化の為サイドアームを所持しないで赴く事があったり
あまり使用しない為、保険程度に取り合えずハンドガンを携帯している事もあるそうなので、全体的にサイドアームの小型化を検討しているみたいですね・・・
Posted by ロマン at 2015年07月30日 17:12
コメント失礼します。私は、シールズが好きで、マルイMK23を知人から譲り受け使用していましたが、デカすぎるので現在は同社のGBB M1911A1または、P226E2をサプを付けMK25風に改造し使用しています。今年、マルイからHK45Tが出たのでコンパクト仕様の販売が待ち遠しいです。
Posted by 19620101 at 2017年06月08日 01:48
19620101様
コメントありがとう御座います
HK45C 楽しみですよね~
コメントありがとう御座います
HK45C 楽しみですよね~
Posted by ロマン at 2017年06月08日 23:18