2014年06月09日
米軍M14についての考察
「スプリングフィールドM14」
制式名は「United States Rifle, 7.62 mm M14」
(スプリングフィールドの名称は含まれません)
スプリングフィールド造兵廠製造
第二次世界大戦にて長きに渡り使用され続けたM1ガーランドでしたが、1950年朝鮮戦争が始まると突撃してくる敵の多さにM1の弾数とセミオートだけでは対処できない事に気が付きました。
そこで米軍はM1を改良し連射(フルオート)機能の追加、8発のエンブロッククリップ式装填から20発交換可能な弾倉(マガジン)式へ改良したM14が開発されました。
(M14も専用の5連クリップを使えば、マガジンを外さないまま再装填ができるらしいです)
1966年からM14はベトナム戦争に投入されアメリカ軍の主力ライフルとして使用されましたが、7.62x51mm NATO弾のストッピングパワー以外の欠点が多く出てきました。
殆どジャングルのベトナムではM14の長いバレルでは取り回しが悪く、木々が邪魔をして長射程も意味をなさず、木製であるストックもジャングルの湿気で腐る始末でした。
さらにはストッピングパワーのある7.62mm弾もM1ガーランドで使用していたスプリングフィールド弾よりも短く設計されましたが、反動と初速は全く変わらず一般男性が撃つには限界に近い状態の物で、折角付けた連射(フルオート)機能を使用しても制御不能な状態でした。
(敵が使用するAK47も同じ7.62mmですが、マガジン形状の違いからM14の方が所持段数で劣る欠点も有り)
あまりの欠点の多さからアメリカ軍は、マクナマラ国防長官の政策変更にて高速小口径弾用の銃として開発中だったAR15を「M16」として正式採用し、M14をM16へ置き換えていきました。
ですが初期のM16にも「清掃をしないと弾詰まりや動作不良を起こしやすい」という深刻な問題点があり、5.56mm弾ではストッピングパワーの点でも劣りました。
(当時M16の形状が斬新で、「掃除しなくても大丈夫」と言うデマが兵士の間に広がってしまった為とも言われてます)
軽量コンパクトでフルオートでも制御が容易という点のみM14より勝っているだけでしたが、これらはベトナムのジャングルにおける接近戦では非常に重要な利点でもありました。
M14の生産は中止されてしまいましたが、M16は「汚れで動かなくなる」と言う戦場ではあってはならない事実に一部の兵士達は憤慨しM16の使用を拒みM14を使い続けたといいます。
残ったM14はM21へと改良が加えられ威力や精度を重視する場面においての運用に重宝されました。
表部隊からは姿を消したものの、アメリカ軍特殊部隊や一部の部隊を始め、他の国でも使用され続けられました。
特に狙撃用として改修されたM21は、アメリカ陸軍の制式狙撃銃として長らく現役で使われています。
陸軍儀仗隊や空軍儀仗隊でもM14やM21を儀典用、または戦没者葬礼用の礼砲用銃として使用
アメリカ海軍では艦艇の洋上補給(ハイライン)時の舫い銃(共同所有)として現在もM14が用いられています。
・ハイライン = 元は索につけられた名称で、それが転じて洋上で艦同士が航行しながら人員や物資の移送を行う作業の事を言います
M14は主力としての表舞台から姿を消す事となりましたが約40年後の2000年頃に入ると、アフガニスタンやイラクなど広い戦場においてはM16やM4では射程が短いことから、威力と飛距離があり壊れにくいM14の再評価が始まり、海兵隊による運用が確認され始めました。
特に海兵隊では、狙撃銃やマークスマン・ライフル(Designated Marksman Rifle)DMRとして、アフガニスタンやイラクでの軍事行動(湾岸戦争、イラク戦争)で使われたことが知られている。
実はその前の1993年10月ソマリアでの国連PKO活動の一部、「ブラックホーク・ダウン」として映画化もされたモガディシュの戦闘では、デルタフォース隊員「ランディ・シュガート一等軍曹(SFC Randy Shughart)」が、他の隊員が使用する最新の装備を差し置いてダットサイトを付けたM14を使用しています。
「M14」
(画像は 映画ブラックホークダウンより)
原作(小説)によると、この作戦でM14を使用したシュガートは、他のデルタフォースの隊員に、M14の7.62mm弾が、M16の5.56mm弾よりも確実なストッピングパワーを持っていることを証明したとされています。
その後アメリカ軍倉庫に死蔵(デッドストック)されていたM14に様々な改修を施したモデルが実戦に投入される事となりました。
現在では陸軍と海兵隊両方にて運用中「M14」
木製ストックの腐食経験を得て、現在では樹脂製ストック使用もあります。
アメリカ海兵隊がM14をベースに改良した「M14 DMR」
正式名(United States Marine Corps Designated Marksman Rifle)
大量に保管されていたM14の中より程度の良いものを選びだし、各部品を交換・組み上げを行い、海兵隊独自のカスタムがされてます
(MEUピストルみたいですねw)
・バレルを22インチ(560mm)ステンレス製のマッチグレード使用に変更
・ピストルグリップ形状のストックに、可変チークピースを装備
・ ピカティニー・レール標準装備(通常のM14はマウントが別途必要です)
・Harris S-L製バイポッドを装備(実銃のみ)
ここまで書くと聞こえが良いですがDMRを実際使用する兵士から、「DMRは砂漠に適していなく、砂により精度と信頼性が低下してしまう」と言われているそうです。
「エアガン選び」
無難にマルイさんで「U.S.ライフル M14 ウッドタイプストックver」と「 ファイバータイプO.D.ストックver」
マルイが誇る命中精度に加え、発売当時は珍しかった金属パーツ多数使用(亜鉛ダイカストですけどね)
「M14ソーコム」
見た目はカッコ良いですが、軍用ではなくM14の民間向けモデル「M1A」の派生型である為非推薦
(サプレッサー入れて、ストック替えればOKかもです)
東京マルイ用にDMRのストックも出てるみたいですね。
G&P 「GP-731 M14 DMRタイプストック OD」
完成品もあります「電動エアガン AEG052FG M14 DMR FG 完成品」
「最後に」
M14でご紹介させて戴いたからには語りますとも「ブラックホーク・ダウン」!
(簡素で申し訳ありませんが)
RPGの攻撃を受け墜落したスーパー64(ブラックホークのコードネーム)の機長マイク・デュラントが生存しているのを確認しますが救出(降下)の許可はおりず、一向に援軍の目処がたたない状況を重く見たスーパー62のクルーは、再度デルタ隊員降下の許可を求めました。
そして本人たちの志願とも言える形で墜落現場に降下したのがデルタの狙撃隊員、「ランディ・シュガート一等軍曹」と「ゲイリー・ゴードン曹長」です。
「映画 ブラックホーク・ダウンより」
M14を使用しているのがランディ・シュガート一等軍曹です。
その後彼らはアメリカ合衆国の軍人に大統領から直接授与される、アメリカ軍の勲章において最高位の勲章「名誉勲章」を授与されました。
彼らに限らず、勇敢に戦った全兵士に敬意を表して
今日はここまで
・次回「米軍M14(Mk14)EBRについての考察」へ
・前回「ガンナーについての考察」へ
制式名は「United States Rifle, 7.62 mm M14」
(スプリングフィールドの名称は含まれません)
スプリングフィールド造兵廠製造
第二次世界大戦にて長きに渡り使用され続けたM1ガーランドでしたが、1950年朝鮮戦争が始まると突撃してくる敵の多さにM1の弾数とセミオートだけでは対処できない事に気が付きました。
そこで米軍はM1を改良し連射(フルオート)機能の追加、8発のエンブロッククリップ式装填から20発交換可能な弾倉(マガジン)式へ改良したM14が開発されました。
(M14も専用の5連クリップを使えば、マガジンを外さないまま再装填ができるらしいです)
1966年からM14はベトナム戦争に投入されアメリカ軍の主力ライフルとして使用されましたが、7.62x51mm NATO弾のストッピングパワー以外の欠点が多く出てきました。
殆どジャングルのベトナムではM14の長いバレルでは取り回しが悪く、木々が邪魔をして長射程も意味をなさず、木製であるストックもジャングルの湿気で腐る始末でした。
さらにはストッピングパワーのある7.62mm弾もM1ガーランドで使用していたスプリングフィールド弾よりも短く設計されましたが、反動と初速は全く変わらず一般男性が撃つには限界に近い状態の物で、折角付けた連射(フルオート)機能を使用しても制御不能な状態でした。
(敵が使用するAK47も同じ7.62mmですが、マガジン形状の違いからM14の方が所持段数で劣る欠点も有り)
あまりの欠点の多さからアメリカ軍は、マクナマラ国防長官の政策変更にて高速小口径弾用の銃として開発中だったAR15を「M16」として正式採用し、M14をM16へ置き換えていきました。
ですが初期のM16にも「清掃をしないと弾詰まりや動作不良を起こしやすい」という深刻な問題点があり、5.56mm弾ではストッピングパワーの点でも劣りました。
(当時M16の形状が斬新で、「掃除しなくても大丈夫」と言うデマが兵士の間に広がってしまった為とも言われてます)
軽量コンパクトでフルオートでも制御が容易という点のみM14より勝っているだけでしたが、これらはベトナムのジャングルにおける接近戦では非常に重要な利点でもありました。
M14の生産は中止されてしまいましたが、M16は「汚れで動かなくなる」と言う戦場ではあってはならない事実に一部の兵士達は憤慨しM16の使用を拒みM14を使い続けたといいます。
残ったM14はM21へと改良が加えられ威力や精度を重視する場面においての運用に重宝されました。
表部隊からは姿を消したものの、アメリカ軍特殊部隊や一部の部隊を始め、他の国でも使用され続けられました。
特に狙撃用として改修されたM21は、アメリカ陸軍の制式狙撃銃として長らく現役で使われています。
陸軍儀仗隊や空軍儀仗隊でもM14やM21を儀典用、または戦没者葬礼用の礼砲用銃として使用
アメリカ海軍では艦艇の洋上補給(ハイライン)時の舫い銃(共同所有)として現在もM14が用いられています。
・ハイライン = 元は索につけられた名称で、それが転じて洋上で艦同士が航行しながら人員や物資の移送を行う作業の事を言います
M14は主力としての表舞台から姿を消す事となりましたが約40年後の2000年頃に入ると、アフガニスタンやイラクなど広い戦場においてはM16やM4では射程が短いことから、威力と飛距離があり壊れにくいM14の再評価が始まり、海兵隊による運用が確認され始めました。
特に海兵隊では、狙撃銃やマークスマン・ライフル(Designated Marksman Rifle)DMRとして、アフガニスタンやイラクでの軍事行動(湾岸戦争、イラク戦争)で使われたことが知られている。
実はその前の1993年10月ソマリアでの国連PKO活動の一部、「ブラックホーク・ダウン」として映画化もされたモガディシュの戦闘では、デルタフォース隊員「ランディ・シュガート一等軍曹(SFC Randy Shughart)」が、他の隊員が使用する最新の装備を差し置いてダットサイトを付けたM14を使用しています。
「M14」
(画像は 映画ブラックホークダウンより)
原作(小説)によると、この作戦でM14を使用したシュガートは、他のデルタフォースの隊員に、M14の7.62mm弾が、M16の5.56mm弾よりも確実なストッピングパワーを持っていることを証明したとされています。
その後アメリカ軍倉庫に死蔵(デッドストック)されていたM14に様々な改修を施したモデルが実戦に投入される事となりました。
現在では陸軍と海兵隊両方にて運用中「M14」
木製ストックの腐食経験を得て、現在では樹脂製ストック使用もあります。
アメリカ海兵隊がM14をベースに改良した「M14 DMR」
正式名(United States Marine Corps Designated Marksman Rifle)
大量に保管されていたM14の中より程度の良いものを選びだし、各部品を交換・組み上げを行い、海兵隊独自のカスタムがされてます
(MEUピストルみたいですねw)
・バレルを22インチ(560mm)ステンレス製のマッチグレード使用に変更
・ピストルグリップ形状のストックに、可変チークピースを装備
・ ピカティニー・レール標準装備(通常のM14はマウントが別途必要です)
・Harris S-L製バイポッドを装備(実銃のみ)
ここまで書くと聞こえが良いですがDMRを実際使用する兵士から、「DMRは砂漠に適していなく、砂により精度と信頼性が低下してしまう」と言われているそうです。
「エアガン選び」
無難にマルイさんで「U.S.ライフル M14 ウッドタイプストックver」と「 ファイバータイプO.D.ストックver」
マルイが誇る命中精度に加え、発売当時は珍しかった金属パーツ多数使用(亜鉛ダイカストですけどね)
「M14ソーコム」
見た目はカッコ良いですが、軍用ではなくM14の民間向けモデル「M1A」の派生型である為非推薦
(サプレッサー入れて、ストック替えればOKかもです)
東京マルイ用にDMRのストックも出てるみたいですね。
G&P 「GP-731 M14 DMRタイプストック OD」
完成品もあります「電動エアガン AEG052FG M14 DMR FG 完成品」
「最後に」
M14でご紹介させて戴いたからには語りますとも「ブラックホーク・ダウン」!
(簡素で申し訳ありませんが)
RPGの攻撃を受け墜落したスーパー64(ブラックホークのコードネーム)の機長マイク・デュラントが生存しているのを確認しますが救出(降下)の許可はおりず、一向に援軍の目処がたたない状況を重く見たスーパー62のクルーは、再度デルタ隊員降下の許可を求めました。
そして本人たちの志願とも言える形で墜落現場に降下したのがデルタの狙撃隊員、「ランディ・シュガート一等軍曹」と「ゲイリー・ゴードン曹長」です。
「映画 ブラックホーク・ダウンより」
M14を使用しているのがランディ・シュガート一等軍曹です。
その後彼らはアメリカ合衆国の軍人に大統領から直接授与される、アメリカ軍の勲章において最高位の勲章「名誉勲章」を授与されました。
彼らに限らず、勇敢に戦った全兵士に敬意を表して
今日はここまで
・次回「米軍M14(Mk14)EBRについての考察」へ
・前回「ガンナーについての考察」へ